手紙や挨拶状は、なぜ句読点を付けないのか

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お客様によく聞かれるのに「どうして、年賀状や挨拶状の文章には句読点を付けないの?」というのがある。
現代の文章は、小説であれなんであれ、句読点をつけるのが当たり前なので、不思議に思う方も多いだろう。

挨拶状などで句読点を付けない理由は、以下のとおりだ。

1.日本には元来句読点がなかった

明治になるまでの日本は、手紙はすべて毛筆で書かれていた。そこには「。」や「、」などの句読点を書く習慣がなかった。挨拶状の場合、手紙という範疇になるので、その伝統を受け継ぎ、句読点を付けないのが慣例になっている。

2.句読点をつけるのは、相手に失礼にあたる

 句読点は相手が読みやすいように付けるもので、読み手の補助になる。なので、読解力のある大人に対し、句読点を付けた文章を送るのは、読み手に対して見下しているという説がある。

このように、昔からの慣例で句読点を付けないのだ。
挨拶状だけでなく、表彰状にも当てはまる。

いつから句読点を使い出したのか?

では、いつから句読点を使い出したのか?それは明治に入ってからだ。
今まで、毛筆で手書きで書いていたものが、活字が使われるようになってきた。そうなると、手書きに比べ句読点がないと非常に読みづらくなる。

それをわかりやすくするために、明治20年以降、句読点を使用するようになってきた。
ちなみに、句読点のルールが初めて制定されたのが、明治39年の文部省大臣官房圖書課の「句読法案(句読点法案)」だ。

そうすると、日本人が句読点を使い出したのは、つい最近ということになる。

ただ、挨拶状で「必ず句読点を抜くこと」というルールは存在しないので、あくまで「慣例」としてのこと。
句読点を付けた挨拶状を書いたからといって、絶対ダメというわけでもない。

ただ最近思うのは、メールやLINEでは句読点を付けずに、短い文章でやりとりすることが増えている。
短い文章で句読点を多用するのは読みづらいし、なによりスマホで句読点を打つのが面倒くさい。
そうした理由から、LINEでのやりとりに句読点を付けない人が増えているのだろう。