チラシの目的を意識する。これだけで反応率が上がるというお話。

印刷

チラシのデザインと印刷を生業としている筆者は、時々思うことがある。
それは、チラシを作ることが目的化されてしまい、「デザインのいいチラシが出来た」「格好いいチラシができた」と、完全にひとりよがりの自己満足に陥ってしまっているクライアントが非常に多いということだ。

そもそも、チラシとはお店に来てもらったり、電話をもらったりという、お客様からのリアクションを得るためのツールでしかない。
いくらデザインが綺麗でも、いくら格好良くても、集客につながらないチラシはなんの意味もない。

それなのに、デザインや格好良さばかりを気にする人のなんと多いことか。これはクライアントに限った話じゃなく、デザイナーや印刷会社のDTPオペレーターにも言えることだ。

文字のバランスや色使い、デザインのテイストは確かに大事だ。決してデザインを無視しろというつもりはない。
しかし顧客というのは、「このチラシ、デザインがいいな~、格好いいな~。よし、今度の日曜日に行ってみるか」とはならないのである。
そんな事よりも、「欲しい!」と思わせる写真の魅せ方であったり、キャッチコピーだったり、文章が重要なのだ。

例えば筆者の体験談。
昔、ある住宅会社のチラシを作ったことがある。
よくあるパターンは、格好いい写真やパース、間取り図が入った上品なチラシだ。
しかし、その時私は、あえて文字だけのチラシを提案した。お客様への「手紙」という形で、その住宅のメリット、なぜ必要なのか等を丁寧に言葉で説明しただけのチラシだ。

幸い、「面白いじゃないか」ということで提案が通り、実際にチラシをまいてみると、1周間で5棟が売れるという、とんでもない実績を出したのだ。

なにも、文字だけのチラシが良いという話ではない。
お客様の心の琴線に触れる言葉や写真、イラストで、「行ってみよう」「電話してみよう」というアクションを期待できるようなチラシ作りをしなければダメだということを言いたいのである。

もちろん、デザインは格好いい方が素敵だ。しかし、それを目的化すると何の意味もない。
チラシに与えられた使命は、お客様を連れてくること。それだけなのだ。それを意識するだけで、チラシの出来栄えがずいぶんと違ってくる。必然的に、地図が大きくなったり、電話番号が目立つところに大きく配置されたり。それがたとえ、デザインのバランスを崩したとしても、反応率が上がるのだ。

「このチラシは、お客様を連れてきてくれるか」

それを自問自答してチラシ作りをすること。これが、反応率を上げるための重要な一歩だと思う。