中国大返しから学ぶ、3つのスピード

ビジネス全般

今、大河ドラマが面白い。筆者は歴史が大好きなので、大河ドラマは毎年見ているが、今年の「軍師官兵衛」は、近年で最高の出来なのではないかと思っている。
ひとつは、信長、秀吉、家康と続く歴史の主流の中で、勘兵衛という稀代の策士を見事に活写しているところだと思う。

さて、いよいよ前半の見どころ、「中国大返し」である。
中国大返しとは、本能寺の変を備中で知った秀吉が、すぐさま毛利と和睦し、200kmの距離をわずが6日間という、当時としては異例のスピードで京に向かって取って返した軍事作戦だ。

6月2日に本能寺の変で信長が死ぬ。なんと翌日の夜にはその事実を秀吉が知り、4日には毛利と和睦を行い、6日は畿内に向けて出発、そして6日後に到着という、当時では考えられないスピードでの行軍だ。

このスピードは、まず第一に情報伝達のスピード。おそらく秀吉は京から備中までの間にたくさんの情報伝達者を普段から置いて、いざ京に事あらばすぐに情報が伝達される仕組みを作っていたのだろう。

第二に、決断のスピード。信長の死を知るやいなや、すぐに毛利と和睦し、京に向けて猛スピードで行軍している。即座に「光秀を討つ」という決断をしたのだろう。

第三に行軍のスピード。当時としては信じられないほどの速さで畿内に戻っていることを考えると、のんびり歩いての行軍ではなく、全軍駆け足で行軍していたのだろう。

この3つのスピードは、現在でも見習うべきところ大である。
情報伝達を早くし、決断を早くし、行動を早くする。
そして、それを成らしめるのは「光秀を討って、天下を取る」という明確な目標だ。

現代ではインターネットやテレビによって、情報伝達のスピードは、これ以上ないくらいに発達している。
問題は、決断と行動のスピードだ。
いくら情報が早くても、決断が鈍れば情報は入っていないに等しい。また、決断を早めても行動に移さなければ同じことだ。

行動には、「勇気」がいる。失敗した時のリスクも抱えなければならない。
それでも、リスクを省みず、即断・即行することが、未来を切り開くのだ。
中国大返しは、そのことを現代の我々に教えてくれる。

戦も、ビジネスも同じだということ。
普段から、即断・即行のトレーニングを積んでおくことが、いざというときに役に立つのだ。