ECサイト成功の秘訣は、接客にあり

ビジネス全般

筆者は、印刷関連のECサイトをいくつか運営しているが、いつも思うのは「ECサイト成功のためには、接客の良し悪しが欠かせない」ということだ。

ECサイトなので、もちろんネット経由で注文が入ってくる。ほとんどの注文はお客様と会話を交わすことなく作業が進み、納品に至るわけだが、それでも「接客」は大事なのだ。

顧客へのメールは、まさに最初の接客だ。

具体的に言うと、自動返信メールの文章ひとつとっても、大事な「接客」となる。
よく、大手のECサイトでは担当者の名前もない、非常に事務的な乾いた文章が自動返信で送られてくる。
これは、大手で有名なサイトだから許されることであって、我々のような中小のECサイトにとっては、このような事務的なメールは、ご法度だと考える。

きちんと文章の冒頭で担当の名前を名乗り、注文内容を伝え、質問事項や分からないことがあれば、いつでも電話・メールができるような文章になっていて、ひと目で「安心できるな」と思ってもらえるような返信メールにする必要がある。

実は、ECサイト運営者で、自動返信メールの文章に気をつけている人は少ない。
でも、受け取る側から見ると、事務的な文章と、誠実さや親近感を感じる文章では、印象はずいぶんと違うものだ。
自動返信メールは、注文顧客との初めての接触だ。
いい印象を残せるかどうかが、重要だと思う。

また、進捗状況に応じたこまめなメール連絡も大事なポイントだ。
印刷商品は、顧客のデータを預かって印刷する関係上、いろいろなトラブルが想定される。
トラブルについての不安は、実は注文した顧客が一番抱えている。その不安を打ち消すためには、

「お預かりしたデータを検証しましたが、問題はありませんでした。綺麗に印刷できますので、ご安心ください」

という一文をメールするだけで、顧客は安心するし、「親切だな」と感じてもらえる。
納品までのプロセスで、こうしたメールを適切なタイミングで送ると、顧客は安心して我々に任せてくれる。
納品するまでに「顧客満足」を実現させるのだ。

そうして納品したものの品質が良ければ、「ここは安心だ。また頼もう」と思ってもらえる。
顧客満足とは、納品後に発生するのではなく、受注から納品までのプロセスで発生するものと思い、顧客の立場に立ったメール対応を心がけるようにすべきだ。

顧客は、我々の電話応対で、注文するか否かを判断する

ECサイトを見て、電話をかけてくる顧客が一定数ある。
もちろん、電話は大歓迎だ。
しかし、電話を拒否しているECサイトをたまに見かけるが、これはやってはいけない。
ECサイトのトップには、誰でも分かる位置に電話番号を記載するべきであり、「お気軽にお電話ください」と書くべきだ。

電話をかけるということは、「不安になっている」または「ECサイトを見ても分からない」、「特別な相談がある」のいずれかだ。

不安になっている人が電話をかけてくるというのは、勇気がいることだ。
・無愛想だったらどうしよう。
・断られたらどうしよう。
・ほんとにこの会社、大丈夫かな?

など、不安を言えば枚挙にいとまがない。
そうして電話をかけた相手が、不安どおりの無愛想さでつっけんどんに対応されたら、どう思うだろうか?
「ああ、電話して良かった。この会社に注文しないでおこう」

となるのだ。

逆に、明るく、親切で、顧客の立場に立った電話応対をすると

「ああ、電話して良かった。よし、この会社に注文しよう」

となる。
「ああ、電話して良かった」までは同じなのだ。しかし、応対を間違えると注文を失う。
なので、ECサイトとはいえ、電話応対は非常に大切。
普段から、スタッフには電話応対のトレーニングをするようにお勧めする。

 ECサイトでも、結局は「人」と「人」の商売

「そもそも面倒くさいコミュニケーションなんてしたくないから、ネットで注文する」

という人が多いのも事実だ。そうした人に滿足してもらうには、極力自動化させて、注文に至る顧客の負担を減らしてあげることが大切になる。注文フォームの入力が面倒くさいと、機会損失につながる。

しかし、そうした自動化やシステム化を考える際も、注文する人の立場に立って、Webサイトのページ設計をすべきだ。
それも、大切な「接客」だと考える。

また、メールや電話での問い合わせは、積極的に受付けるようにする。
「誠実さ」「スピード」「丁寧さ」がポイントになる。

パソコンの画面を相手にしていても、我々のやっていることはまさに「商売」なのだ。
つまるところ、「人」と「人」とのコミュニケーションが一番大切だということだ。

もちろん、ネットでの商売なので、SEOやシステムの自動化などは大事だが、それはまたの機会ということで。