開封せずにはいられなくなるDMの極意

ビジネス全般

ダイレクトメールは、昔から使われているスタンダードなマーケティングツールだ。
しかし、かける費用に対して、効果が薄いのも、ダイレクトメールなのだ。

DMを作っている立場だと分からないが、自宅へ届いたDMを見る側にたつと、どんなDMが良くて、どんなDMが悪いのかが、よく見えてくる。
DMは、チラシなどとちがい、消費者に行動を起こしてもらうまでに、いくつかの難関がある。

1つは、開封してもらうこと。

開封してもらわないと、消費者には何も伝わらない。しかし多くの人が失敗するのは、DMの中身だけ凝って、パンフレットを良くしたり、特典を入れたり、割引券を入れたりと、そればかりを気にする。
しかし、せっかく一生懸命考えたDMの内容物も、開封されなければおしまいなのだ。

とすると、DMで一番大事なのは、ゴミ箱に直行することなく、開封してもらえるDMということになる。

ここで、開封せずにはいられなくなるDMというのを考えてみよう。

1.中に小物を入れたDM

封筒の中に、製品サンプルや、プレゼントを入れるDMだ。
プレゼントも、かさばるモノのほうが効果がある。
手にとった人は、「封筒の中に何か入っている」と異物感を感じ、ついつい開封したくなる仕掛けだ。結構、使い古された感があるが、今でも十分有効な方法だ。
欠点は、郵送代が通常より高くなることだが、これで反応が取れれば費用対効果も出てくるだろう。

2.徹底的に絞り込んだリストへのDM

DMを出す対象を思い切って絞り込むこと。
例えば、小さい子供をお持ちの方ならわかると思うが、児童手当というのがある。役所から出されるDM(というか、案内)には、封筒の表面に「児童手当」という文字が入ってくる。
これは、開けずにはいられないだろう。

これと同じやりかたで、対象を具体的にしぼり、封筒の表面に「●●の▲▲な方へ」と書くことで、開封率を高めることができる。
例えば住宅のDMなら「2世帯住宅で車を3台以上駐車できる住宅のご案内」とする。

もちろん、ターゲットは同居世帯で、子供が18歳以上の顧客だ。
これには、綿密な顧客調査とデータベース化が必須になってくる。単純に住所と名前のリストを作るだけでは、絞り込むことが出来ないので、普段から顧客情報の収集を細分化し、より具体的な条件で整理しておく必要があり、かなりの労力を要する。

しかし、いったんそうした顧客リストができれば、絞り込みは簡単になり、より開封率の高いDMを出すことができる。
絞り込みの条件は、1つよりは2つの方が具体的になって強力だ。

「3歳未満のお子様をお持ちのお母さんへ」というより、
「3歳未満のお子様に、英語力を付けさせたいと考えているお母さんへ」とするほうが、より開封率は上がる。

3.緊急性・希少性を持たせる

これも、使い古された手だが、緊急性を持たせるというもの。
「●月●日までの特価セール」と封筒の表に書くことだ。
使い古されて入るが、今でも十分効果がある。希少性も同じだ。
「残り●個」というやつだ。

これをする時のポイントは、「本当にそうすること」だ。期限を切るなら、期限を過ぎたら同じセールは一切しない。
希少性を持たせるなら、本当に希少性のあるものを扱うこと。

顧客は馬鹿ではない。言葉だけの上っ面で「緊急性」「希少性」をアピールしても、すぐに見抜かれる。
本当のことを誠実に。これが大切なポイントだ。

 

以上、3点をあげたが、DMの開封率を上げるのは、大変な努力が必要だ。
実は、開封率が100%近いDMがある。
それは、税務署からのDMや、裁判所からのDMだ。
「開けてすぐ見ないと、ヤバイ」と思わせるDMだ。こうしたDMは来てほしくないDMなのだが、開封率は非常に高い。

要するに、顧客の心理バランスを崩してやることが大事なのだ。
心理バランスを崩した時、人は行動を駆り立てられる。

もちろん、嘘や騙しがあっては論外だが。